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    豆知識_その他_1

    防虫剤の基礎知識

    防虫剤の二種併用は危険!


    防虫剤は原料別に1.パラジクロルベンゼン製剤、2.エムペントリン製剤、3.しょうのう製剤、4.ナフタリン製剤、の4つのタイプに分けることができます。どんな原料を使用しているかは、必ず商品名の近くに書いてあります。
    この4つのタイプの中で、人形の保存のために最も適しているのが4.のナフタリンを原料としているもので、(社)日本人形協会で頒布している「幼な守り」もナフタリンを原料としています。

    1.パラジクロルベンゼン製剤


    パラジクロルベンゼン製剤のものは、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレンを除く)と反応しプラ製品を溶かしてしまう可能性があります。気体化しての反応ですから、人形の内部や木製品に塩化ビニール系のコーティングがしてある場合も反応してしまいますので、人形保存用として使用するのは避けたほうがいいでしょう。

    2.エムペントリン製剤


    エムペントリン製剤のものは、防虫剤特有の臭気がなく人気を集めていますが、銅と反応し、銅を変色させる可能性があります。屏風や鎧などの場合、銅と亜鉛の合金や真鍮が、気がつきにくい箇所に使われていることも多いので、やはり人形保存用として使用するのは避けたほうがいいでしょう。

    3.しょうのう製剤


    しょうのう製剤のものは、ほとんどが呉服用として製造されているために、衣替えを基準にして効果の持続期間が約半年となっています。一年に一度しか対面しない雛人形の保存用としては、やはりあまり適さないでしょう。さて、人形保存用として最も適したナフタリン製剤のタイプでも、パラジクロルベンゼン製剤、しょうのう製剤と併用した場合には、プラスチックと反応してプラスチックを溶かしてしまったり、油性のシミが付着する可能性があります。混用した場合はもちろんのこと、前回に使用した別系統の防虫剤の臭気が残っていた場合には、それだけで反応してしまうこともあります。毎年同じ種類の防虫剤を使用することが、トラブルを防ぐ最短の道です。

    再結晶しても慌てないで!


    フタを開けてびっくりするもう一つのトラブルに、再結晶という問題があります。一度ガス化した防虫剤が、氷砂糖のような固まりになって再び現れる現象のことです。密閉度がよく、温度変化の激しいところで防虫剤をたくさん使用し過ぎた場合に起こりやすいのですが、心配はいりません。風通しのよいところにしばらく置いておけば自然に消え、シミになったり素材を痛めることはありません。無理に取ろうとしたりすると素材を痛めてしまいますから要注意です。